小島イチカ文化録 #番外編「アーティスト『majiko』の夜明け、レコ発ライブレポート」

今回は番外編として、3/16(水)に行われたライブレポートをファン目線から書こうと思う。
東名阪三箇所で行われたこのライブは、ニューアルバム「AUBE」のレコ発ツアーであり、東京公演・新代田FEVERでは超実力派バンド「チーナ」、「LUCKY TAPES」と共に行ったスリーマンライブであった。

“majiko”は先日ユニバーサルミュージックジャパンへの移籍後初のアルバム「AUBE」をリリースした若手のシンガーソングライターである。
過去には「ニコニコ動画」で歌ってみたによる活動をしていたが数年前からメジャーへ進出し精力的な活動を続けている。

majiko公式ウェブサイト

この記事は過去に少しだけ音楽をかじった程度の素人による完全な自己満足なものであるとともに、
勝手ながら、思いをうまく言葉にできないファンの代弁になれるような記事を目指して書いていく。
また、ライブレポといいつつ普段から思っていることもこの機会に吐き出している。

 

偉そうなことも書いてしまうことは先に謝っておきます、ごめんなさい。長くなるけど真剣に書いたからよかったら読んでみてね。
ニコニコ動画の時代から彼女の楽曲を聞いてきた、一人のファンだからこそ書けるものがあればいいな。

(普通の記事だったらたくさんあがっているので、調べてみてね。)
(記事内で使っている画像はmajiko公式twitterからお借りしました。)

 


 

はじめに

今回のライブは「バンドマンのmajikoのライブだったなー」ということが全体通して思ったことで。
前回までのライブではキーボーディストがいたりマニュピレータがいるなど、ポップなものや機械的なサウンドを表現するに十分なバンド構成であった。その構成でもライブは申し分ないものであったが、今回は一層バンド感が楽しめるものになっていた。

もちろん、アルバム楽曲はバラエティに富んでいて、単にギター・ベース・ドラムだけでは表現できないものもあり、音源と同時に演奏するものも多くあった。
しかし、前回のアルバムはバンドで表現することが難しいものが多く、今回はライブで演奏することを意識したと本人もインタビューで語っていたように、バンドサウンドへのアレンジは磨きがかかっていた。この変化を後ろ向きに捉えるファンはいなかったと思う。

 

アルバム以外の曲であっても同じことが言える。
SLAVE.V-V-R氏のボーカロイドを使った曲である”このピアノでお前を8759632145回ぶん殴る”(youtube)なんかはもともとピアノ主体でスッキリしたサウンドの曲であるのだがギター二本がコードを鳴らす、とても重厚で迫力のあるバンドアレンジになっていたりする。

さてここからやっと僕の思いが如実に綴られてくるフェーズに入っていく

 

「AUBE」の曲たち

簡単に言えば、majikoの楽曲は「暗い」ものばかりだった。ニコニコ動画でボーカロイドの歌ってみたをやっていた時からその音楽性は明らに暗かった。
むしろそれでファンが増えたと言っても過言ではなく、その選曲のセンスがニッチでストーカーのように粘着質なファンが増えていった。麻薬のような歌い手であった。

だからこそ、「夜明け」をテーマに持つ今回のアルバム、そしてライブは僕らには新しいものに見えた
もちろん、ネガティブでダウナーだったこれまでのmajikoの歌と曲も、どこかで世の中に心を開くことができないファンたちには刺さっていた。それでもAUBEは、「ああ、今のmajikoさん、すごく素敵だな」と思わせてくれた一枚だったのだ。

熱狂的なファンは、この3,4年くらいの期間、majikoがつらい時間を過ごしたことを知っている。
そんなmajikoが今、前を向いて曲を作っている。そして、これまで自分の内にしか向いていなかったベクトルが外に向いて、「誰かのため」の曲を書いている。その姿を目の当たりにして、僕らファンが励まされないわけがないのだ。

正直なところ。majikoという人間は頑固であって(そうだと勝手に思ってる)、少し言葉をかけたところで「いやでも、自分なんか、」となってしまう人間であった。
そんな絶望少女の背中を押してくれたのは、歌ってみた時代からの友人であるボーカリスト赤飯(オメでたい頭でなにより)であったり、彼女の内面を見つめて楽曲を提供してくれた作曲家たちに他ならない。
何様だという感じだが、その面々には本当に本当に感謝を伝えたい。majikoさんと音楽をやってくれて本当にありがとうございます、ファンは幸せです。

 

「心做し」

現在、シンガーソングライター一ノ瀬ユウとして活躍している蝶々Pが作詞作曲した”心做し”という曲は、majikoが過去にニコニコ動画系のライブで披露し、そしてメジャーファーストアルバムである「Contrast」に収録されたカバー曲である。
この曲はmajiko本人も、そしてファンたちも、ひどく重たい思い入れのある楽曲である。

 

majikoにとってこの曲がどんな存在であったかを軽く説明すると、「ライブで歌うことになったけど、難しい。自分の気持ちと向き合うのが怖い。どう歌えばいいんだ。」みたいな楽曲だった。
しかし、そんなことは後々で知った情報であり、ライブ本番に僕らの耳に飛び込んできた心做しはとんでもない化け物だった。

圧倒的な表現力。表現力という言葉では包みきれないような、僕らのこころにズカズカ踏み込んでこようとする歌だった。
精神的にギリギリだったmajikoが出した声は、ひどく鋭く、そして美しく悲しいものだった。
この曲はその後何度かYoutubeにも投稿され、ライブでも定番になり、この曲でmajikoを知った人もたくさんいる、名刺になるような曲になった。

過去の話はこれくらいに、改めて本題に戻る。

そんな曲だからこそ、ファンたちの耳には”心做し”が染み付いている。
そして水曜日のライブで歌われた”心做し”を聞いて、ファンたちはmajikoのボーカリストとしての成長を感じたはずだ。
これまでのように、ブレスが聞こえて、感情が乗っている、それはそのままに、よりオーディエンスに届く声になっていた。

隠さずに本音を語るとあの日、大きすぎるホールの真ん中で”まじ娘”が初めて歌った今にも壊れそうな”心做し”は、もう二度と聞くことができないと思っている。あれは幼くて下を向いているまじ娘だからこそ歌えた、芸術品だったと思う。
学生が歌う合唱コンクール、これを大人がやっても同じ感動を味わえないのと似ている。伝説になった”心做し”はあの時にホールに響いて消えていった。

だからといって、「あの頃はよかった」なんて話をしたいわけでない。
現在25歳になってmajikoが歌う”心做し”には、majikoから心做しに向けられた「感謝」が乗っている、その時にしか無い「伝えたいこと」が乗っている
同じ歌だったことは一度だってないし、悪かった心做しなんてのももちろん一度もない。その成長も含め、その瞬間のmajikoをファンに優しく教えてくれるのがこの一曲なのである。

たぶんだけど”心做し”もまたmajikoとファンの成長を見守ってくれていると僕は本気で思っている。
これからもずっとライブで聞いていきたいと願う一曲である。

 

「夜明け」

今回のライブ、もちろんどの曲もとてもよかった、楽しかったのだが、個人的にダントツでよかったと感じたのがmajiko作詞作曲の”Avenir”だった。

majikoというボーカリストはその曲のキャラクターになりきり、その中で自分らしさを発揮するタイプのボーカリストだと思っている。そのためか、提供された曲・カバーの曲は1つの劇をみているような感覚が少しだけある。
1つ1つの曲が始まってから終わるまで、それで1つの物語なのである。
今回のライブでもう1曲、majiko作詞作曲の”ノクチルカの夜”もまた、ノンフィクションから生まれた曲でありながらも1つのドラマとして展開していく。

しかし、Avenirという曲だけは、なんだかmajikoが自分の本音を話しているように聞こえた
僕の気のせいかもしれないがその時の照明もmajikoの顔を隠すように後ろから照らしているように見えたし、後ろから漏れる白い光がまさに「夜明け」のように見えた。
英歌詞だから恥ずかしがらずに歌えたのかも、ってのもあるけどね。

なぜだかわからないがこれまでのmajikoのライブの中で一番、その光景が頭に焼き付いてしまった。
その歌詞にあるように、「自分らしく生きていく」彼女の姿を見ていきたいと思えた。

 

おわりに、読んでくれた方へ

僕の自己満足を読んでいただきありがとうございます。
正直大したことは書けなかったかもしれないし、うまくまとめられなかったところもありますが、
先日のライブで感じたところは書ききれたかと思います。本当はファンたちがとても優しいということにも触れたかったのですが、別の形でもいいなと思ってやめました。

まだ彼女の歌を聞いたこと無い人は、ぜひYoutubeでも覗いてみてください。これからも大好きだった人は、引き続きよろしくお願いします。
僕もただのファンではありますが、たまにこうやって文字に起こせていけたらなと思っています。

リードトラック”声”の歌詞にあるように、ただその声を未来まで届けてほしい、というのが僕らファンの願いです。

 

 

writter: 小島イチカ (ichika_s_kojima@yahoo.co.jp)

 


 

「new album “AUBE” release party 東京ハイカラ編」セットリスト

 

 

  1. アガルタの迷子
  2. Learn to Fly
  3. スープの日
  4. ボートに乗って (熾士稔氏)
  5. このピアノでお前を8759632145回ぶん殴る (SLAVE.V-V-R氏)
  6. UNDERCOVER
  7. ノクチルカの夜
  8. 心做し
  9. 冬の太陽 (“PAUSE ~STRAIGHTENER Tribute Album~”より)
  10. Avenir
  11. アマデウス
  12. きっと忘れない
  13. (EN) 声

 

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